法人税務コラム

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回答一覧

  • Q1. 法人を検索する!

    A1. マイナンバーの導入と同時に、法人にも“社会保険・税番号制度”の一環として『法人番号』が付されました。個人のマイナンバーとは異なり、法人番号は「国税庁 法人番号公表サイト」で公表されたのを皮切りに、様々なサイトで法人の情報について、検索・閲覧・取得が出来るようになってきました。国は、新規取引先の信用調査や、取引拡大の営業ツールとしての利用を推進しているようです。

    「法人名等で検索ができるサイト」

    @法人番号公表サイト(国税庁)
    http://www.houjin-bangou.nta.go.jp/
    法人名や住所の部分的な情報でも検索が可能。

    A法人インフォ(経済産業省版法人ポータル)
    http://hojin-info.go.jp/
    法人名のみ。但し、全省庁統一資格情報、補助金情報、表彰情報等が順次掲載されます。

    B社保適用事業所検索システム(日本年金機構)
    https://www.nenkin.go.jp/do/search_section/
    厚生年金保険・健康保険適用事業所の加入状況を確認できる。適用事業所だけでなく、直近24ヶ月以内に全喪した事業所も。個人事業主も検索可。

    C経営事項審査結果(建設業情報管理センター)
    http://www7.ciic.or.jp/
    商号名称検索で、公共工事に入札参加している建設業の経営事項審査の結果が入手できます。

    D企業検索BOX(@niftyビジネス)
    http://dir.business.nifty.com/
    専門調査会社の情報データベース。検索は無料。

  • Q2. 税理士無料紹介サイトの仕組みとは?

    A2. 起業したばかりの経営者にとって、税理士はまだ身近な存在ではないことの方が多いでしょう。しかし、自分に合った税理士をきちんと見極めて選ぶことは大変重要なことです。場合によっては、優秀な税理士と出会えるかどうかが会社の成長を左右すると言っても過言ではありません。

    そうは言っても、どうやって税理士を探せばよいのか、どの税理士がどういう分野に長けているのか、何も分からないまま会計事務所のサイトを一件ずつ検索して、何人もの税理士に面談を申し込むのも大変だと思われるのではないでしょうか。

    そんな時、「無料税理士紹介サイト」が目に入るかもしれません。
    どのサイトにも「完全無料」で「納得がいくまで何人でも」、「あなたのニーズに応じた」税理士を紹介する、などの聞こえのいい言葉が並んでいます。

    ただ、ちょっと立ち止まって考えてみて下さい。
    もしそのサービスが本当に完全無料であれば、そのサイトの運営はどうなっているのでしょう。

    実はほとんどのサイトは、見込客紹介の際、又はマッチング成立の際に、税理士からかなり高額な手数料を取っているのです。その手数料は、知らない間に税理士報酬に上乗せされていたり、又は顧問料の値引き交渉を困難にしたりと、結局は経営者側に負担がまわってくる場合もあります。

    また税理士とは全くかかわりのない業界が運営しているサイトもあり、実際、様々なトラブルが発生しています。当然、多くの優良な税理士はそこには登録しておらず、「ニーズに応じた」とは名ばかりで、サイト側に都合の良い特定の税理士を押し付けてくることも多くあります。

    「急がば回れ」ではないですが、やはり何事も自分の目や耳、足でしっかり確かめることが重要なのではないでしょうか。

  • Q3. 会社設立手数料0円!の仕組み

    A3. 法人を設立する際には様々な書類が必要となります。
    それらの書類は、もちろん自分で準備してもよいのですが、時間や手間の節約を考えて、司法書士等に書類作成・申請代行を依頼される方も多いでしょう。

    そこで気になるのが、「会社設立無料(または格安)!!」「手数料0円で会社設立!」などのweb広告です。
    なぜこのようなことが可能なのでしょうか。

    そのからくりは、サイトの運営会社にあります。代行手続きは司法書士の仕事の範疇であるにも関わらず、運営母体が会計事務所、というサイトが多くあるのです。
    つまり、設立の代行は無料であっても、会計事務所との顧問契約がセットになっている、または希望しないサービスが付帯しているといった場合があるのです。

    「無料」「格安」の言葉につられて、結局は高い顧問料を払うことになったり、自分に合わない会計事務所と付き合わざるを得ないこととなったりしては元も子もありません。やはり、サービスの内容をきちんと確認することが肝要であると言えるでしょう。

    また、ご自身で法人設立手続きをとお考えで、クラウド会計ソフトの導入を検討されている方は、簡単な操作で法人設立のための書類が作成できるサービスがあるようですので、まずはこちらを利用してみるのもよいかもしれません。

    (ご参考)『MFクラウド創業支援サービス』
    https://biz.moneyforward.com/implementation_support

    (ご参考)『会社設立Freeeで手続きを簡単に』
    https://www.freee.co.jp/launch/

    ※法人設立の際、申請等の代理権限があるのは司法書士となります。行政書士も書類は作成できますが、代理権限はなく、申請等を行うことはできません。かかる費用は多くなりますが、細かいところまで頼みたい場合は、司法書士に依頼されるのが良いでしょう。

  • Q4. 自計化は進めるべきか?(クラウド会計のススメ)

    A4. 会社の内部で会計ソフトへの入力が行われていることを、一般的に「自計化」が出来ていると言います。
    自計化は、自社の業績(財務データ)をタイムリーに把握するためには必要不可欠であり、経理担当者の意識レベルの向上や作業の効率化が、社内の経理環境には必ずプラスとなります。

    最近は会計ソフトだけでなくMFクラウド(https://biz.moneyforward.com/)やFreee(https://www.freee.co.jp/)などのクラウド会計サービスを利用する企業も増えています。

    会計の知識が全くなくても直感的に操作が可能で、また無料で試すことができるのでとても便利です。
    使用に不安があっても、サポート体制も充実していますし、バックに会計事務所がついていれば何の問題もありません。
    会計事務所でも自計化を推進しており、そのための経理担当者への指導・教育はもちろん、導入までのサポートも積極的に行っています。

    無料で試してみて、やはり無理だとなった時は、アウトソーシングを依頼すればよいという気楽な気持ちで始めてみてはいかがでしょうか。

    こちらもご覧ください ⇒ 「アウトソーシングについて」

  • Q5. 領収書の保存方法は?

    A5. 領収書は、法定保存年限7年の大切な『証憑(しょうひょう)書類』です。

    「領収書は金券だ」と言う人がいますが、領収書があってはじめて経費として認められるとしたら、“「額面×税率」の立派な金券”とも言えるわけです。

    領収書はきちんと整理・保管する必要があるのですが、会社規模や経理環境によって要求されるレベルは異なります。
    必要以上に労力をかけていては、“もったいない”ことにもなりますので、税理士と相談しつつ、会社にとって最も適した方法を検討すべきでしょう。

    中小企業では、代表者の親族が経理をしているケースが多く、経理専業でないことから、できるだけ作業を省きたいと思うことが多いでしょう。

    その場合は領収書を紙に貼る必要はなく、1ヶ月ごとにビニール袋などに入れて保存するだけでも構いません。
    この場合、内部統制上というよりは、税務調査時に「調査官に言われたら、探し出せれば良い」ので、そのような場合は、整理・保管にあまり時間と労力をかける必要はないと言えます。

    こちらもご覧ください ⇒ 新設法人向け「『領収書』がない…どうする?」

  • Q6. 求人について

    A6. 求人は、起業でぶつかる壁の一つと言えるかもしれません。
    求職者は総じて安定志向のため、良い人材を獲得するために法人成りして社会保険・労働保険などの環境を整備することもあります。
    これらの公的保険には、法人であれば必ず加入できますのでご安心下さい。

    また、具体的にどの媒体を利用して求人広告を出すのが効果的か、それぞれのメリット・デメリットを理解した上で検討されることをおすすめします。

    新聞折り込み
    新聞を取っていないと広告が配布されないという弱みはありますが、地域に根差した募集ができます。掲載内容等は、営業担当者がたたき台を作成してくれますので、初めてでも安心です。
    また、求職者が比較的落ち着いて時間を取ることができる、日曜日に折り込みが入るのも利点の一つです。
    費用も小さな枠で2万円程度からと手ごろですし、web版がある場合には、同時掲載すれば対象範囲を広げることもできます。

    有料求人サイト
    @求人の掲載は無料でできるが、応募・面接時や採用時に費用が発生するもので、「成果(成功)報酬型」とも言われます。
    求める人材が見つからなかった場合には費用は発生しないので、無駄打ちがなく効率的といえます。
    ただし、サイトの運営上、求職者に入社祝金や懸賞金がかけられており(マッチングの連絡が必ずサイト側に行くように…)、それ目当ての求職者がいることも事実です。
    お祝い金をもらったら、数ヶ月で辞めてしまい、結局は高くついた…などということがないようにしたいものです。
    報酬は1〜10万円程度が多いですが、高額な場合もあり、20〜30万円程になることもありますので、しっかり確認するようにして下さい。

    A掲載時に費用が発生するもの。CMなどで名前を聞くような有名サイトは多くがこのタイプです。閲覧者が多く効果が見込まれますが、広告費はそれなりに高額で条件によっては3ケタになることもあります…。

    業種特化型サイト
    特定の業種・業界の求人だけを取り扱うサイト。
    対象が限定されているため、一般のものよりも規模は小さめですが、仕事に知識・専門性などが必要な場合には、的を絞った求人ができるのが魅力です。

    無料求人サイト
    広告掲載時・面接時・採用時いずれにおいても、一切費用のかからないもの。中には会員登録やログインさえも不要の手軽なものもあるようです。
    しかし、無料で優良なサイトが運営できるわけでもないので、あまり多くの情報を載せることができなかったり、数が少なかったり、使い勝手は良いとは言えないかもしれません。

    ハローワーク
    最初から最後まで、完全無料なのが強み。
    雇用が成立した際には助成金などが得られることもあるので、正社員の募集をする場合は出しておくとよいでしょう。
    (参考)厚生労働省『事業主の方のための雇用関係助成金』の3.従業員を新たに雇い入れる場合の助成金
    http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/index.html

    最近はネットにも対応しており、広い範囲からの募集が可能です。また、掲載期間も簡単な手続きで何度でも更新することができます。
    しかし、そもそもが就職困難者のための公的なセーフティネットであることから、求める年齢層の人材が少ない場合があります。
    また、労働保険・社会保険の加入が義務となっている事業所で未加入の場合は、求人の掲載を断られたり、加入を指導されたりする場合があるようです。
    …詳しくは社会保険労務士さんのサイト等をご参照ください…


    ※労働契約を結ぶ際には、(たとえば知人の紹介で雇い入れる場合等であっても)労働条件を明示しなければなりません。
    また特に重要な事項については書面(労働条件通知書・雇用契約書等)で明示する義務があります。
    …詳しくは社会保険労務士さんのサイト等をご参照ください…

  • Q7. 赤字法人でも調査はあるの?

    A7. 国税当局が公表する数字を基に計算すると、黒字法人の「ある決算期」が税務調査を受ける確率は、30%程度だと言えます。

    それに対し、赤字法人の「ある決算期」が税務調査を受ける統計上の確率は、6%程度です。

    この数字からすると、赤字法人が税務調査を受ける可能性は極めて少ないと思われるかもしれませんが、税務調査を受けた赤字法人のうち、7割程度から非違が見付かり、2割を超える企業が調査の結果「有所得」に転換、つまり実は黒字であったという事実があります。

    税務調査の対象となる法人数のうち、確実に3割は赤字法人です。
    赤字法人でも調査はあることを覚悟して下さい。


    赤字法人が注意すべきことは・・・?
    1) 税務調査の対象となる法人数のうち、確実に3割は赤字法人。赤字法人でも調査はあるのです。

    2) 赤字法人で税務調査が行われる場合でも、黒字法人と基本的に調査手順は変わりません。

    3) 使途秘匿金課税では、赤字法人の場合でも使途秘匿の支出額の40%の納税額が生じます。

    4) 赤字原因の究明を通して、損失補填や赤字工事等の際に、不透明な金銭の授受がないかどうかを調査されます。

    5) 代表者やその一族からの資金調達について、その資金の出所の調査を通じて、代表者個人の預金通帳まで調査をされる可能性があります。

    6) 法人税の調査よりも、消費税や源泉所得税に調査の重点が置かれる可能性があります。
    法人税と消費税、消費税と源泉所得税など、2つ以上の税目にまたがる連動非違が狙われます。(接待交際費や経済的利益など)

    7) 形式にこだわる調査も多くなります。
    領収書の保存、「扶養控除申告書」や「退職所得の受給に関する申告書」等の提出の有無で、厳格な運用を求められます。

  • Q8. 4月からの税制(中小企業関連)!

    A8. 3月の国会で成立した平成29年度税制改正のうち、4月から適用(一部は1月に遡及適用、「4月以降開始事業年度から適用」のものも…)となる主な中小企業関連税制をご説明致します。

    『所得拡大促進税制』の拡充

    中小企業の賃上げを促進するため、今回更なるインセンティブが付与され、前年度比で高い賃上げを行う企業に対して税額控除が拡充されます。もともとの制度は、★要件@⇒給与等支給額の総額が(この制度の基準とされる)平成24年度から3%以上増加していて、★要件A⇒給与等支給額の総額が前年度以上になっていて、★要件B⇒平均給与等支給額が前年度を上回る、という3つの要件を満たした場合に、平成24年度の給与等支給額を超える給与等支給額の部分に対して、その10%を法人税額から控除(法人税額の20%が上限)できるという制度です。なお、基準となる平成24年度に(役員のみの会社も含め)国内雇用者がいなかった場合は1円、平成24年度当時には事業を営んでいなかった企業は、平成25年4月以降で(給与等を支給する)最も古い事業年度の給与等支給額の7割相当額が基準雇用者給与等支給額となりますので、条件を満たせばとてもお得な制度となっています。今回の改正では、上記条件を満たした上で、平均給与等支給額が前年度より2%以上増加している中小企業は、賃上げに伴う社会保険料負担を上回る控除率となるよう、前年度からの給与等支給総額の増加額について更に控除率を12%上乗せし、その部分は22%の税額控除が適用されます。ただし、上記上乗せ措置は、平成29年4月1日以後開始事業年度からの適用です。(前年度比2%未満は従来通り…)

    『中小企業経営強化税制』の創設

    中小企業投資促進税制のうち、生産性向上設備や収益力強化設備を対象として即時償却や税額控除ができた上乗せ措置を独立させ、中小企業等経営強化法に基づく制度に改組(創設)したものです。機械装置に加え、これまで上乗せ措置の対象外であった器具備品と建物附属設備が対象設備に追加されました。これにより、中小企業者等が同法の認定を受けた経営力向上計画に基づき対象設備を新規取得し、指定事業の用に供した場合、即時償却又は7%(資本金3,000万円以下は10%)の税額控除が選択適用できます。ただし、平成29年4月1日から平成31年3月31日までの間に取得等する設備について適用されます。
    なお、税額控除については、中小企業投資促進税制・商業サービス業活性化税制と合わせて法人税額の20%が上限となります。

    『固定資産税の軽減措置』

    中小企業等経営強化法では、前号でご紹介した「(法人税・所得税)即時償却や税額控除」の制度とは別に、「取得設備の固定資産税(償却資産税)を3年間半減」という制度があり、「『稼ぐ力』を後押し」(中小企業庁)してくれます。この制度は、同法の認定を受けた事業者が、新たに取得した一定の設備について、特例により固定資産税が3年間1/2になるというもの。今までは機械装置についてだけでしたが、平成29年度税制改正により、一部の地域と業種を限定した上で、測定工具及び検査工具・器具及び備品・建物附属設備が追加されました。つまり、平成28年度の最低賃金が全国平均823円以上の7都府県(東京、神奈川、千葉、埼玉、愛知、大阪、京都)については、労働生産性が低い業種のみ適用可能ですが、それ以外の40道県については、全業種で適用されます。(※機械装置については引き続き全国・全業種対象に…。)
    なお、追加された設備については、平成29年4月1日以降に取得したものに適用されます。

    『事業承継税制』

    「中小企業経営者の高齢化への対応、事業承継の円滑化は“待ったなし”の課題」とする中小企業庁の要望から、事業承継税制(非上場株式等に係る相続税等の納税猶予制度)を更に使いやすくするための見直しがなされました。(平成29年1月1日以後の相続又は贈与について遡及適用されます。)その内容は─ (1)事業承継税制の雇用要件について、維持すべき従業員数(5年平均で8割)の端数計算が緩和されました。その結果、従業員5人未満の企業の従業員が1人減った場合でも、雇用要件を満たすことが可能となりました。(2)経営環境の激変(事故・災害、取引先の倒産等)時には、影響の程度に応じてセーフティネット(事業継続要件の一部免除等の措置)が設けられました。(3) 相続時精算課税制度との併用を認め、贈与税の納税猶予の認定取消時に高額の贈与税負担が生ずるというリスクを軽減…。これは、実効性のある画期的な改正といえます。……拍手!!

    『取引相場のない株式の評価』
    取引相場のない株式の評価は、純資産価額方式と類似業種比準方式をミックスして計算します。その類似業種比準方式について、@類似業種の上場株式の株価は、「2年間平均」を新たに選択可能にして、株価の上昇局面における急激な変動を平準化できるようにし、A「配当、利益、簿価純資産」という3つの比準要素について、上場企業の子会社を含めた連結決算を反映させた数字に見直し、Bその比準要素のウェイトを、利益を重視した従来の「1:3:1」を「1:1:1」に見直すことで、成長・好業績企業の負担軽減をはかり、C会社規模の判定基準(従業員数や年取引額等)を、できるだけ上位の枠に多くの企業が含まれるように見直す、等の点が改正されました。上記の改正も、平成29年1月1日以後の相続又は贈与により取得した財産の評価に遡及適用されます。Bの改正では「最近の利益水準はそれ程ではないものの内部留保が厚い老舗企業」にとっては悩ましいところでしょうが、@とCは確実に納税者優位となる改正で、全体としてはオーナー一族にとっては嬉しい改正となるでしょう。

  • Q9. 印紙税で問題!『請負』か『委任』か?

    A9. 税理士業界の必読誌である『週刊税務通信』(発刊:税務研究会)の平成29年4月3日号で、「請負契約書と委任契約書の判断」と題して、元東京国税局消費税課長の小林幸夫氏(税理士)が具体的に解説しています。

    「請負契約」か「委任契約」かが何故重要か?

    平成元年、消費税の導入とともに「委任状又は委任に関する契約書」は、印紙税の課税対象から外れました。請負契約も有償の委任契約も消費税の課税取引となり、印紙税と消費税の二重課税が問題とされる中で、担税力が(一般的に)弱い“委任”の方だけ課税廃止となり、一応、その部分だけは二重課税が解消されたわけです。そこで、ある文書が印紙税の課税文書となる“請負”なのか、特定の基本契約書を除き、印紙税が課されない“委任”に該当するのかは、実務で悩むところとなりました。

    “請負”と“委任”の意義!

    “請負”とは、民法632条に規定する請負をいい、「完成すべき仕事の結果の有形、無形は問わない」とされています。そして、民法によると“請負”は、「仕事の完成を約し」それに対して「報酬を支払う」という対価関係にたつ契約だといいます。請負契約の典型例としては、各種工事、機械の製作・保守・修理、建物の清掃、開発、広告宣伝、舞台への出演、講演、などがあげられます。一方、“委任”は、「法律行為をなすことを相手方に委託すること」としていますが、「法律行為以外の事務を処理すること」の準委任も含むとしていて、「相手方の知識、経験、才能等に基づく契約をいう」(前記小林税理士)と定義付けます。しかし、それでもなかなかスッキリしないところです。特に、人的役務提供契約などについては、“請負”なのか“委任”なのかの解釈が判別しにくいものがあり、民法解釈だけでなく、印紙税に関する取扱先例等を参考にしなければなりません。

    「具体的な判断」の指標!

    小林氏が契約書の例をあげて説明する中で、参考になるのは次のような内容です。
    同誌で小林氏は、「判断のポイントとしては、@仕事の完成と報酬の支払いが対価関係にたち、A仕事の完成に至るまでの危険も受託者が負担することとされている場合は、請負に該当する」のだといいます。一方、「調査報告は調査進行に従って随時行う」という文言が書かれていても、それだけでは「成果物の提出と報酬の支払いが対価関係にたつ旨の明確な約定がなされていないことから、委任」と。つまり、「契約書上明文化されていなくても、一般的には、報告書を作成、提出する……仮に報告書が作成、提出されることになっていても、その旨の約定の記載がありませんから、その事実は、課否判断の結論に影響を及ぼすものではない」としています。また、同誌の中で小林氏は、請負なのか委任なのかの判別がし難い場合は、まず契約当事者の意思が尊重されるべきなので、契約書の約定の中に、その契約が請負契約ではなく、委任契約である旨の文言を入れてしまうケースも見受けられる、としています。なお、製作物供給契約書のように、請負契約書か売買契約書(不課税文書)かの判断が明確にできないものもありますが、この場合は、仕事の完成に重きを置いているのか、所有権移転(物品譲渡)に重きを置いているのかによって判断することになっております。