税理士業界の必読誌である『週刊税務通信』(発刊:税務研究会)の平成29年4月3日号で、「請負契約書と委任契約書の判断」と題して、元東京国税局消費税課長の小林幸夫氏(税理士)が具体的に解説しています。

「請負契約」か「委任契約」かが何故重要か?

平成元年、消費税の導入とともに「委任状又は委任に関する契約書」は、印紙税の課税対象から外れました。請負契約も有償の委任契約も消費税の課税取引となり、印紙税と消費税の二重課税が問題とされる中で、担税力が(一般的に)弱い“委任”の方だけ課税廃止となり、一応、その部分だけは二重課税が解消されたわけです。そこで、ある文書が印紙税の課税文書となる“請負”なのか、特定の基本契約書を除き、印紙税が課されない“委任”に該当するのかは、実務で悩むところとなりました。

“請負”と“委任”の意義!

“請負”とは、民法632条に規定する請負をいい、「完成すべき仕事の結果の有形、無形は問わない」とされています。そして、民法によると“請負”は、「仕事の完成を約し」それに対して「報酬を支払う」という対価関係にたつ契約だといいます。請負契約の典型例としては、各種工事、機械の製作・保守・修理、建物の清掃、開発、広告宣伝、舞台への出演、講演、などがあげられます。一方、“委任”は、「法律行為をなすことを相手方に委託すること」としていますが、「法律行為以外の事務を処理すること」の準委任も含むとしていて、「相手方の知識、経験、才能等に基づく契約をいう」(前記小林税理士)と定義付けます。しかし、それでもなかなかスッキリしないところです。特に、人的役務提供契約などについては、“請負”なのか“委任”なのかの解釈が判別しにくいものがあり、民法解釈だけでなく、印紙税に関する取扱先例等を参考にしなければなりません。

「具体的な判断」の指標!

小林氏が契約書の例をあげて説明する中で、参考になるのは次のような内容です。
同誌で小林氏は、「判断のポイントとしては、@仕事の完成と報酬の支払いが対価関係にたち、A仕事の完成に至るまでの危険も受託者が負担することとされている場合は、請負に該当する」のだといいます。一方、「調査報告は調査進行に従って随時行う」という文言が書かれていても、それだけでは「成果物の提出と報酬の支払いが対価関係にたつ旨の明確な約定がなされていないことから、委任」と。つまり、「契約書上明文化されていなくても、一般的には、報告書を作成、提出する……仮に報告書が作成、提出されることになっていても、その旨の約定の記載がありませんから、その事実は、課否判断の結論に影響を及ぼすものではない」としています。また、同誌の中で小林氏は、請負なのか委任なのかの判別がし難い場合は、まず契約当事者の意思が尊重されるべきなので、契約書の約定の中に、その契約が請負契約ではなく、委任契約である旨の文言を入れてしまうケースも見受けられる、としています。なお、製作物供給契約書のように、請負契約書か売買契約書(不課税文書)かの判断が明確にできないものもありますが、この場合は、仕事の完成に重きを置いているのか、所有権移転(物品譲渡)に重きを置いているのかによって判断することになっております。