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2017/07/11

総数2件 1

3月の国会で成立した平成29年度税制改正のうち、4月から適用(一部は1月に遡及適用、「4月以降開始事業年度から適用」のものも…)となる主な中小企業関連税制をご説明致します。

『所得拡大促進税制』の拡充

中小企業の賃上げを促進するため、今回更なるインセンティブが付与され、前年度比で高い賃上げを行う企業に対して税額控除が拡充されます。もともとの制度は、★要件@⇒給与等支給額の総額が(この制度の基準とされる)平成24年度から3%以上増加していて、★要件A⇒給与等支給額の総額が前年度以上になっていて、★要件B⇒平均給与等支給額が前年度を上回る、という3つの要件を満たした場合に、平成24年度の給与等支給額を超える給与等支給額の部分に対して、その10%を法人税額から控除(法人税額の20%が上限)できるという制度です。なお、基準となる平成24年度に(役員のみの会社も含め)国内雇用者がいなかった場合は1円、平成24年度当時には事業を営んでいなかった企業は、平成25年4月以降で(給与等を支給する)最も古い事業年度の給与等支給額の7割相当額が基準雇用者給与等支給額となりますので、条件を満たせばとてもお得な制度となっています。今回の改正では、上記条件を満たした上で、平均給与等支給額が前年度より2%以上増加している中小企業は、賃上げに伴う社会保険料負担を上回る控除率となるよう、前年度からの給与等支給総額の増加額について更に控除率を12%上乗せし、その部分は22%の税額控除が適用されます。ただし、上記上乗せ措置は、平成29年4月1日以後開始事業年度からの適用です。(前年度比2%未満は従来通り…)

『中小企業経営強化税制』の創設

中小企業投資促進税制のうち、生産性向上設備や収益力強化設備を対象として即時償却や税額控除ができた上乗せ措置を独立させ、中小企業等経営強化法に基づく制度に改組(創設)したものです。機械装置に加え、これまで上乗せ措置の対象外であった器具備品と建物附属設備が対象設備に追加されました。これにより、中小企業者等が同法の認定を受けた経営力向上計画に基づき対象設備を新規取得し、指定事業の用に供した場合、即時償却又は7%(資本金3,000万円以下は10%)の税額控除が選択適用できます。ただし、平成29年4月1日から平成31年3月31日までの間に取得等する設備について適用されます。
なお、税額控除については、中小企業投資促進税制・商業サービス業活性化税制と合わせて法人税額の20%が上限となります。

『固定資産税の軽減措置』

中小企業等経営強化法では、前号でご紹介した「(法人税・所得税)即時償却や税額控除」の制度とは別に、「取得設備の固定資産税(償却資産税)を3年間半減」という制度があり、「『稼ぐ力』を後押し」(中小企業庁)してくれます。この制度は、同法の認定を受けた事業者が、新たに取得した一定の設備について、特例により固定資産税が3年間1/2になるというもの。今までは機械装置についてだけでしたが、平成29年度税制改正により、一部の地域と業種を限定した上で、測定工具及び検査工具・器具及び備品・建物附属設備が追加されました。つまり、平成28年度の最低賃金が全国平均823円以上の7都府県(東京、神奈川、千葉、埼玉、愛知、大阪、京都)については、労働生産性が低い業種のみ適用可能ですが、それ以外の40道県については、全業種で適用されます。(※機械装置については引き続き全国・全業種対象に…。)
なお、追加された設備については、平成29年4月1日以降に取得したものに適用されます。

『事業承継税制』

「中小企業経営者の高齢化への対応、事業承継の円滑化は“待ったなし”の課題」とする中小企業庁の要望から、事業承継税制(非上場株式等に係る相続税等の納税猶予制度)を更に使いやすくするための見直しがなされました。(平成29年1月1日以後の相続又は贈与について遡及適用されます。)その内容は─ (1)事業承継税制の雇用要件について、維持すべき従業員数(5年平均で8割)の端数計算が緩和されました。その結果、従業員5人未満の企業の従業員が1人減った場合でも、雇用要件を満たすことが可能となりました。(2)経営環境の激変(事故・災害、取引先の倒産等)時には、影響の程度に応じてセーフティネット(事業継続要件の一部免除等の措置)が設けられました。(3) 相続時精算課税制度との併用を認め、贈与税の納税猶予の認定取消時に高額の贈与税負担が生ずるというリスクを軽減…。これは、実効性のある画期的な改正といえます。……拍手!!

『取引相場のない株式の評価』
取引相場のない株式の評価は、純資産価額方式と類似業種比準方式をミックスして計算します。その類似業種比準方式について、@類似業種の上場株式の株価は、「2年間平均」を新たに選択可能にして、株価の上昇局面における急激な変動を平準化できるようにし、A「配当、利益、簿価純資産」という3つの比準要素について、上場企業の子会社を含めた連結決算を反映させた数字に見直し、Bその比準要素のウェイトを、利益を重視した従来の「1:3:1」を「1:1:1」に見直すことで、成長・好業績企業の負担軽減をはかり、C会社規模の判定基準(従業員数や年取引額等)を、できるだけ上位の枠に多くの企業が含まれるように見直す、等の点が改正されました。上記の改正も、平成29年1月1日以後の相続又は贈与により取得した財産の評価に遡及適用されます。Bの改正では「最近の利益水準はそれ程ではないものの内部留保が厚い老舗企業」にとっては悩ましいところでしょうが、@とCは確実に納税者優位となる改正で、全体としてはオーナー一族にとっては嬉しい改正となるでしょう。

税理士業界の必読誌である『週刊税務通信』(発刊:税務研究会)の平成29年4月3日号で、「請負契約書と委任契約書の判断」と題して、元東京国税局消費税課長の小林幸夫氏(税理士)が具体的に解説しています。

「請負契約」か「委任契約」かが何故重要か?

平成元年、消費税の導入とともに「委任状又は委任に関する契約書」は、印紙税の課税対象から外れました。請負契約も有償の委任契約も消費税の課税取引となり、印紙税と消費税の二重課税が問題とされる中で、担税力が(一般的に)弱い“委任”の方だけ課税廃止となり、一応、その部分だけは二重課税が解消されたわけです。そこで、ある文書が印紙税の課税文書となる“請負”なのか、特定の基本契約書を除き、印紙税が課されない“委任”に該当するのかは、実務で悩むところとなりました。

“請負”と“委任”の意義!

“請負”とは、民法632条に規定する請負をいい、「完成すべき仕事の結果の有形、無形は問わない」とされています。そして、民法によると“請負”は、「仕事の完成を約し」それに対して「報酬を支払う」という対価関係にたつ契約だといいます。請負契約の典型例としては、各種工事、機械の製作・保守・修理、建物の清掃、開発、広告宣伝、舞台への出演、講演、などがあげられます。一方、“委任”は、「法律行為をなすことを相手方に委託すること」としていますが、「法律行為以外の事務を処理すること」の準委任も含むとしていて、「相手方の知識、経験、才能等に基づく契約をいう」(前記小林税理士)と定義付けます。しかし、それでもなかなかスッキリしないところです。特に、人的役務提供契約などについては、“請負”なのか“委任”なのかの解釈が判別しにくいものがあり、民法解釈だけでなく、印紙税に関する取扱先例等を参考にしなければなりません。

「具体的な判断」の指標!

小林氏が契約書の例をあげて説明する中で、参考になるのは次のような内容です。
同誌で小林氏は、「判断のポイントとしては、@仕事の完成と報酬の支払いが対価関係にたち、A仕事の完成に至るまでの危険も受託者が負担することとされている場合は、請負に該当する」のだといいます。一方、「調査報告は調査進行に従って随時行う」という文言が書かれていても、それだけでは「成果物の提出と報酬の支払いが対価関係にたつ旨の明確な約定がなされていないことから、委任」と。つまり、「契約書上明文化されていなくても、一般的には、報告書を作成、提出する……仮に報告書が作成、提出されることになっていても、その旨の約定の記載がありませんから、その事実は、課否判断の結論に影響を及ぼすものではない」としています。また、同誌の中で小林氏は、請負なのか委任なのかの判別がし難い場合は、まず契約当事者の意思が尊重されるべきなので、契約書の約定の中に、その契約が請負契約ではなく、委任契約である旨の文言を入れてしまうケースも見受けられる、としています。なお、製作物供給契約書のように、請負契約書か売買契約書(不課税文書)かの判断が明確にできないものもありますが、この場合は、仕事の完成に重きを置いているのか、所有権移転(物品譲渡)に重きを置いているのかによって判断することになっております。

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